リアルを
知っていますか?
「17歳の君たちへ」と書かれた本ですが、17歳の子どもたちの親世代が読んでもものすごくわかりやすく経済の事、貧困の事が日本だけでなく海外についても書かれている著書だ。
一般的には先進国といわれる日本ですが、国民の7人に1人が貧困層といわれている。
アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済大国であり、市場には最先端のファッションや商品があふれ、都会ではどんな国の料理でも食べることができる。これはGDP(国内総生産)の数値が高いからだ。
その一方で、日本は「貧困大国」とも呼ばれている。「ひとり親」「非正規雇用」「低学歴」「病気」などが原因の「相対的貧困率」が根拠になっているのだ。
今の日本で貧困は何を生むのだろうか。それは「自己否定感」だ。言い換えれば、「劣等感」「あきらめ」「自暴自棄」であり、生きている価値を見出せずに将来についてどうでもよくなってしまうことだ。自己否定感はいわば「心のガン」といえるだろう。
そんな貧困家庭に育つも、家族や周囲のサポートで自信につながり有名になった人も多い。
貧困の原因があっても本人の資質や遺伝的要素にもよるが、周りのサポートがあるかないかによって自己否定感は自己肯定に十分変換できるのだ。
著者は1977年東京生まれ。17歳の子供たちのちょうど親世代の作家。
国内外の貧困、災害、事件などをテーマに、小学校から大学までの様々な教育機関での講義や取材・執筆活動を行っている。
本書はそうした講義の集大成として一冊にまとめたものとなっている。
十代の子供たちを目線に書かれているが、大人世代が読んでも十分共感できる内容となっている。